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子供の矯正は必要?歯並びのチェックポイントと医院の選び方

2026.01.29

ファミリー⻭科

子供の矯正は必要?歯並びのチェックポイントと医院の選び方

子どもの歯並びを見て「前歯がガタガタしてきた」「出っ歯に見える」「このまま様子見でいいのかな」と不安になったことはありませんか。歯並びは見た目の問題だけでなく、噛み合わせや顎の成長、発音や口の閉じやすさにも関わるため、早めに気づけると安心につながります。

一方で、子どもの歯並びは成長とともに大きく変化します。乳歯の段階では歯の間にすき間がある方が自然なこともあり、すぐに矯正が必要とは限りません。

大切なのは、「今の歯並びが成長の途中で起こる一時的な変化なのか」「治療を検討した方がよいのか」を見分けることです。特に学校歯科健診で歯列・咬合を指摘された場合は矯正が必要という意味ではなく、歯科医院で詳しく確認するきっかけと考えるとよいでしょう。

この記事では、子どもの矯正を考える目安、始めどきの考え方、医院の選び方までを整理します。

 

監修した先生

奈良 倫之先生

奈良 倫之 先生

医療法人社団 歯友会 理事長
ファミリー歯科 院長

第1章 子供の歯並びはどこまで様子見していい?

子どもの歯並びは成長とともに変化するため、見た目だけで矯正が必要とは限りません。一方で、噛み合わせや顎の成長に関わる問題が隠れている場合もあります。ここでは「様子見でよい変化」と「早めに相談したいサイン」を整理します。

乳歯の歯並びと永久歯の歯並びは別もの

乳歯のすき間や並び方は、永久歯の歯並びと同じ基準で判断できません。乳歯は永久歯より小さく、後から大きい永久歯が生えるためのスペースとして、すき間がある方が自然な場合もあります。逆に乳歯が詰まってきれいに並んでいても、永久歯が生えると歯が並びきらずガタガタ(叢生)になることもあります。焦って結論を出すより、「生え変わりの途中の一時的な変化か」を踏まえて見守りましょう。

参照:日本小児歯科学会 子どもたちの歯並び・かみ合わせの治療に関するQ&A
https://www.jspd.or.jp/question/qa/

矯正が必要な可能性があるケース

様子見でよいケースが多い一方、早めに歯科へ相談した方がよいサインもあります。例えば歯が深く重なって生えている、上下の前歯の噛み方が不自然、左右どちらかに顎がずれて噛むなどは、噛み合わせの問題が疑われます。また「口が閉じにくい」「出っ歯に見える」「口呼吸が多い」なども見逃せません。矯正は見た目だけでなく、噛む・話すといった機能面にも関わるため、気になった時点で一度確認すると安心です。

学校健診の指摘は「受診のきっかけ」

学校歯科健診で「歯列・咬合」を指摘されると、矯正が必要なのではと不安になりがちです。しかし健診は診断ではなく簡易的な検査(スクリーニング)に過ぎません。歯並びの指摘をされても矯正が必要とは限らず、「一度、歯科医院で確認しましょう」という合図と考えるとよいでしょう。歯並びは経過観察でよい場合もあれば、噛み合わせのズレが強く早めに評価した方がよい場合もあります。健診結果を受け取ったら慌てず、まずは歯科医院で精密検査を受け、矯正が必要なら適切な時期を提案してもらいましょう。

参照:日本歯科医学会 学校歯科健診の「歯列・咬合」指摘後の相談~診断の考え方(2025) https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r07/document-250616.pdf

第2章 子供の矯正はいつから?矯正の始めどき

子どもの矯正は「何歳になったら始める」と一律に決まるものではありません。歯の生え変わりや顎の成長スピードには個人差があり、状態によって適切なタイミングが変わります。ここでは小児矯正の基本的な考え方と、相談の目安を整理します。

小児矯正は「I期・II期」で考える

子どもの矯正は、成長を利用する「I期治療」と、永久歯が生えそろってから歯並びを仕上げる「II期治療」に分けて考えられます。I期は乳歯と永久歯が混ざる時期に行い、顎の幅や噛み合わせのバランスを整えることが目的です。II期は永久歯列が完成してから、歯の位置を本格的に整える段階です。早めに始めた方がよいケースもありますが、すべての子にI期が必要とは限りません。歯科医院で「今はI期で土台を整えるべきか」「II期まで待てるのか」を判断してもらうとよいでしょう。
参照:日本矯正歯科協会 子どもの矯正歯科治療を始める前に(トレンドウォッチ) 
https://www.jpao.jp/15news/1525trendwatch/vol13

早めに相談した方がよいケースは?

矯正の開始時期で大切なのは、お子さんの年齢よりも「異常に気づけるか」です。例えば、噛み合わせのズレが大きい、上下の前歯の噛み方に違和感がある、顎が左右どちらかにずれて噛んでいるように見える場合は、早めに評価した方がよいことがあります。歯が重なって生えてきた場合も、顎の幅やスペースの不足が関係していることがあります。気になった点があるなら、矯正を決める前に「治療が必要か」「経過観察でよいか」を確認するのが現実的です。まずは日本小児歯科学会が公開する、保護者向けに整理されたQ&Aを確認してみましょう。

参照:日本小児歯科学会 子どもたちの歯並び・かみ合わせの治療に関するQ&A
https://www.jspd.or.jp/question/qa/

矯正は早ければ良いとは限らない

歯科矯正は早ければ良いとは限りません。I期から始めた場合、成長を見ながら進めるため通院期間が長くなることがあり、永久歯が生えそろった後にII期治療が必要になるケースもあります。また、矯正装置の種類によっては歯磨きが難しくなり、むし歯や歯肉炎のリスクが上がります。長期間の通院や家庭のケアが無理なくできるかも重要な判断材料です。焦って矯正を決めるより「本人にとって負担が少ない計画か」を含めて相談しましょう。
 また、矯正は費用だけでなく通院回数や家庭でのケアも必要になるため、生活面の負担も含めて確認しておくことが大切です。見積もりの内訳(装置代・調整料・保定装置など)を聞いておくとよいでしょう。

参照:日本矯正歯科協会 子どもの矯正歯科治療を始める前に(トレンドウォッチ) 
https://www.jpao.jp/15news/1525trendwatch/vol13

第3章 学校健診で「歯列・咬合」を指摘されたらどうする?

学校歯科健診で「歯列・咬合」にチェックが入ると、「すぐ矯正が必要なのでは」と不安になる保護者は少なくありません。しかし、健診は診断ではなく、歯並びや噛み合わせについて「歯科医院で確認が必要かもしれない」子どもを見つけるための仕組みです。まずは健診結果の意味を正しく理解しましょう。

学校歯科健診で確認されるポイント

学校歯科健診では、むし歯の有無だけでなく、歯列や噛み合わせも確認します。ここでのチェックは専門的な診断ではなく、集団健診として簡易的に行われるものです。
集団健診は「明らかな歯並びのずれや問題がないか」を広く拾い上げるためにあります。そのため、「歯列・咬合」の指摘があっても、必ず治療が必要とは限りません。成長途中で一時的に見られる歯並びの変化が含まれることもあります。健診結果は歯科受診を検討するきっかけです。指摘があると驚きますが過度に心配せず、まずは歯科医院に相談しましょう。

参照:厚生労働省 e-ヘルスネット 歯科健診(検診)
 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/teeth/yh-039.html

不正咬合と指摘されても、矯正が必要とは限らない

健診で指摘を受けると、「矯正を始めないといけないのでは」と感じがちですが、実際には経過観察でよいケースも多くあります。歯並びや噛み合わせは、顎の成長や永久歯の生え方によって今後変わる可能性があるためです。一方で、噛み合わせのズレが強い場合や、成長に影響する可能性がある場合は、早めに評価した方がよいこともあります。健診結果だけで判断するのは早計です。

気になることがあれば早めに歯科医院に相談を

学校健診をきっかけに受診する場合、まずはかかりつけ歯科医院や小児歯科で相談するのが一般的です。そこで歯並びや噛み合わせの状態を確認し、必要に応じて矯正歯科の紹介を受ける流れが無理のない進め方です。最初から矯正を前提に考える必要はなく、「今は様子見でよいか」「将来に向けて注意すべき点は何か」を整理してもらいましょう。早めに相談しておくことで、適切な時期や選択肢を把握しやすくなります。

第4章 子供の矯正治療の種類と生活への影響

子どもの矯正というと「歯をきれいに並べる治療」の印象が強いかもしれませんが、実際は噛み合わせや顎の成長も含めて歯並びを整える治療です。装置の種類や治療の進め方によって、通院頻度や生活への影響も変わります。ここでは、小児矯正の治療内容を大まかに整理し、保護者が事前に知っておきたい注意点もまとめます。

子供の矯正で使われる装置の種類

小児矯正で使われる装置は大きく「取り外し式」と「固定式」に分けられます。取り外し式は、顎の成長を利用して歯が並ぶ土台を整える目的で使われることが多く、本人が装着時間を守れるかがポイントになります。一方、固定式は歯に装置を付けて動かすタイプで、歯並びを細かく整えたいときに用いられます。どの装置が適するかは、歯並びの状態だけでなく成長段階や生活習慣にも左右されます。

参照:日本矯正歯科協会 子どもの矯正歯科治療を始める前に(トレンドウォッチ)
 https://www.jpao.jp/15news/1525trendwatch/vol13

子供の矯正治療:装置と特徴(目安)

装置のタイプ 主な特徴 生活への影響(例)
取り外し式(可撤式:かてつしき) 顎の成長を利用しやすい。装着時間が治療効果に影響 装着忘れが起きやすい/紛失リスクが高い
固定式 細かい歯の移動ができる。装着管理は歯科で行う 食べ物が挟まりやすい/歯みがきが難しくなる
状態により併用 成長段階や歯列の状況に応じて段階的に変更する 期間が長くなることがある

矯正のメリットは「見た目」だけではない

矯正治療のメリットは、歯並びが整って見た目の印象が良くなることだけではありません。噛み合わせの改善につながる点は特に大きなメリットです。噛み合わせのズレがあると特定の歯に負担が集中して、噛みにくさや食べこぼしにつながったりすることがあります。子どものうちに噛み合わせを整えると、今後の噛み合わせのトラブルを減らす場合があります。とはいえ、すべての歯並びの乱れに治療が必要なわけではありません。子どもの状態に合わせて「治療の目的」を明確にすることが、納得のいく判断につながります。

参照:日本小児歯科学会 子どもたちの歯並び・かみ合わせの治療に関するQ&A
 https://www.jspd.or.jp/question/qa/

むし歯や歯肉炎リスク、通院負担も考える

矯正もメリットばかりではありません。矯正中は装置の影響で歯磨きが難しくなり、むし歯や歯肉炎のリスクが高くなります。固定式の場合は特に汚れが残りやすく、普段より丁寧なセルフケアが求められます。また、矯正は長い時間が必要です。数回で終わることはなく、定期的な通院が前提になります。家庭の負担や本人のモチベーション維持も、治療を続けるうえで重要な要素です。治療を始める前に「通院頻度」「ケア方法」「学校生活との両立」「お子さんの意識」などを確認し、無理のない計画を立てていきましょう。

第5章 医院の選び方―小児歯科か矯正歯科か

子どもの歯並びが気になったとき、「小児歯科と矯正歯科のどちらに行けばよいのか」で迷う方は多いでしょう。
基本的には、むし歯予防や定期健診も含めて診てもらえるかかりつけの小児歯科(または一般的な歯科医院)で相談するとよいでしょう。学校健診で「歯列・咬合」を指摘された場合は歯科医院で歯並びを確認し、治療が必要か・経過観察でよいかを整理することが大切です。そのうえで矯正が適切と判断された場合に矯正歯科(矯正専門医)へ紹介してもらう流れが安心です。
最初から矯正歯科を受診しても問題ありませんが、迷ったら「まず小児歯科または歯科医院→必要に応じて矯正歯科」の順なら適切に対応できるでしょう。

なお「矯正専門医」「認定医」などの呼び方や制度は、医院によって説明の仕方が異なることがあります。大切なのは名称よりも、矯正治療の経験や診断の根拠を分かりやすく説明してくれるかどうかです。初診相談では、治療の目的(何を改善したいのか)、想定されるリスク、治療を始めない選択肢(経過観察)の可能性についても確認しましょう。納得できる説明があると、治療の判断がしやすくなります。

ここでは保護者が知っておきたいポイントを整理します。

  • まずは歯科医院に相談を
     学校健診の指摘や歯並びの違和感がある場合、かかりつけ歯科・小児歯科で相談しましょう。
  • 「小児矯正の実績」があるか確認する
     子どもの矯正は顎の成長を踏まえた評価が必要です。年齢や成長段階に合わせた調整と説明ができる医院かを確認しましょう。
  • 説明が具体的で、押しつけがない
     「今は経過観察でよい」「I期が必要」「将来II期が必要になる可能性」などの説明が具体的で、メリット・注意点も含めて説明してくれる医院が望ましいです。
  • 治療期間・通院頻度・費用の見通しが明確
     矯正は長期になることがあるため、どのくらいの期間になりやすいか、通院頻度はどの程度か、費用(追加費用の有無)などを確認します。
  • むし歯予防や口腔ケアのフォローがある
     矯正中は歯磨きが難しくなりがちです。クリーニングやブラッシング指導など、予防面を重視しているかもポイントです。
  • 子ども本人が通いやすい雰囲気か
     子どもの矯正は本人の協力が不可欠です。説明が分かりやすい、怖がらせない、相談しやすい雰囲気があるかも見ておきましょう。
  • 治療期間・通院頻度・費用の見通しが明確
     矯正は長期になることがあります。治療期間や通院頻度、費用体系(総額制か、調整料が別か)も確認しましょう。I期・II期で段階が分かれる場合は、追加費用の有無も含めて見積もりの範囲を聞いておくと安心です。
  • 違和感があればセカンドオピニオンを使う
     方針に納得できない、説明が少ない、急いで治療を決めさせる場合は、別の医院で意見を聞くことも選択肢です。

参照:日本小児歯科学会 子どもたちの歯並び・かみ合わせの治療に関するQ&A
https://www.jspd.or.jp/question/qa/
参照:日本矯正歯科協会 子どもの矯正歯科治療を始める前に(トレンドウォッチ) 
https://www.jpao.jp/15news/1525trendwatch/vol13

まとめ

子どもの歯並びが気になったとき、すぐに「矯正が必要」と決めつける必要はありません。乳歯から永久歯へ生え変わる時期は歯並びが乱れて見えやすく、成長とともに自然に変化するケースもあります。一方で、噛み合わせのズレや顎の成長のバランスが関わる場合は、早めに評価した方がよいこともあります。学校歯科健診で「歯列・咬合」を指摘された場合も、矯正が確定したわけではなく、歯科で詳しく確認するためのきっかけと捉えるとよいでしょう。矯正を始める時期は年齢だけで決まらず、I期・II期の考え方や生活への負担も含めて検討することが大切です。迷ったら、まず小児歯科やかかりつけ歯科で相談し、必要に応じて矯正歯科へつなぐ流れで整理しましょう。

 

作成日 2026年1月26日

参考資料

日本小児歯科学会:子どもたちの歯並び・かみ合わせの治療に関するQ&A
https://www.jspd.or.jp/question/qa/

日本矯正歯科協会:子どもの矯正歯科治療を始める前に
https://www.jpao.jp/15news/1525trendwatch/vol13

厚生労働省 e-ヘルスネット:歯科健診(検診)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/teeth/yh-039.html

日本歯科医学会 学校歯科健診の「歯列・咬合」指摘後の相談~診断の考え方(2025)
https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r07/document-250616.pdf

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