入れ歯の掃除、正しくできていますか?おすすめグッズと毎日の正しいお手入れ方法
2026.02.28
ファミリー⻭科
入れ歯を使い始めると、「毎日どうやって洗えばいいの?」「普通の歯ブラシで大丈夫?」「洗浄剤は必要?」と迷うことがあるかと思います。自己流のケアを続けていると入れ歯のニオイや着色が気になったり、歯ぐきが痛くなる方も少なくありません。
入れ歯は身近なもので、ついケアが疎かになりがちですが、毎日の掃除と管理が欠かせない医療器具です。正しい方法でお手入れを続けると清潔さを保ち、装着感の悪化や口腔トラブルの予防にもつながります。
この記事では、入れ歯掃除に便利なグッズやお手入れ方法、ついやりがちな注意点、歯科に相談したほうがよいタイミングをまとめてお伝えします。日々の入れ歯ケアにお役立てください。
目次
監修した先生
奈良 倫之 先生
医療法人社団 歯友会 理事長
ファミリー歯科 院長
第1章 入れ歯掃除に使うおすすめグッズ
まずは、入れ歯のお手入れに役立つ基本的なグッズを紹介します。すべてをそろえる必要はありませんが、目的に合った道具を選ぶことで汚れの落としやすさや効率が格段に上がります。毎日のケアを無理なく続けるためにも、「最低限そろえておきたいもの」と「あると便利なもの」を分けて考えるのがおすすめです。
自分に合うグッズや使い方は、ぜひ歯科医院でご相談ください。
- 入れ歯専用ブラシ
- 義歯洗浄剤(錠剤・泡・液体タイプ)
- 保管ケース、義歯用コップ
- 部分入れ歯用の細部ブラシ
- 口腔ケア用スポンジブラシ
入れ歯専用ブラシ
入れ歯専用ブラシは義歯の形に沿って洗いやすいよう設計された専用のブラシです。通常の歯ブラシよりもヘッドが大きく、両面に毛が付いているのが特徴です。人工歯の表面と、歯ぐきに当たる内側を分けて磨けるタイプもあります。
普通の歯ブラシでも代用はできますが、毛が硬すぎると表面に細かな傷がつきやすくなります。その傷に汚れや細菌がたまりやすく、不衛生になりがちです。歯みがき用ブラシは先端が細く、入れ歯全体を効率よく洗いにくい場合もあります。できれば入れ歯専用が良いですが、歯ブラシの「やわらかめ」のブラシを選ぶと入れ歯を傷つけにくく安心して使えます。
義歯洗浄剤(錠剤・泡・液体タイプ)
ブラシだけでは落としきれない細菌やニオイ対策に役立つのが義歯洗浄剤です。水に溶かしてつけ置きする錠剤タイプが一般的ですが、泡タイプや液体タイプなど、使い方に合わせた製品もあります。
毎日の軽い除菌用、週に数回のしっかり洗浄用など製品ごとに特徴が異なるため、用途に合わせて使い分けましょう。ただし、「洗浄剤につけるだけ」で掃除が完結するわけではありません。基本はブラシで物理的に汚れを落とし、補助的に洗浄剤を使いましょう。
日本義歯ケア学会のガイドラインによると、洗浄剤だけでの洗浄効果は十分な科学的根拠があるとは言い切れないものの、ブラシによる清掃の併用で清潔を保ちやすくなるとされています。
参照:日本義歯ケア学会 ガイドライン
https://www.jdenturecare.com/_userdata/guideline/professional.pdf
保管ケース・義歯用コップ
外した入れ歯をそのままティッシュに包んだり、洗面台に置いたままにすると、破損や紛失の原因になります。専用の保管ケースや義歯用コップがあると、乾燥を防ぎながら安全に入れ歯を管理できます。
特に夜間に入れ歯を外す方や、外出先で入れ歯を外すことがある方は、ひとつ用意しておくと安心です。ふた付きタイプなら、うっかり落としてしまうリスクも減らせます。
部分入れ歯用の細ブラシ
バネ(クラスプ)や細かいすき間がある部分入れ歯では、通常のブラシだけでは汚れが残りやすくなります。先端の細いブラシやタフトブラシを併用すると、金属部分や入り組んだところまで届きやすくなります。
とくに食べかすがたまりやすい構造の入れ歯は、補助ブラシを使うことで清掃効率が上がります。
口腔ケア用スポンジブラシ
口腔ケアは入れ歯だけでなく、歯ぐきや舌のケアも大切です。スポンジブラシは歯ぐきをやさしく拭いたり、舌の汚れを取り除いたりするのに向いています。歯ぐきに痛みが出やすい方や、高齢の方のケアにも使いやすい道具です。
入れ歯を外している時間に、口の中を清潔に保つ習慣をつけておくと、トラブル予防にもつながります。
第2章 毎日行う入れ歯の正しい掃除
ここからは、毎日行いたい基本的な入れ歯掃除の流れを解説します。特別なことをする必要はありませんが、いくつかのポイントを意識するだけで、清潔さや使い心地に違いが出てきます。
手順1 外す前の準備
まず、洗面台に水を張るか、タオルを敷いてから入れ歯を外します。万が一手が滑っても、水やタオルの上に落ちれば入れ歯の割れ、欠けを防ぎやすくなります。特に部分入れ歯は金属部分が変形しやすいため、このひと手間が役立ちます。
手順2 流水で大まかな汚れを落とす
外した入れ歯は、最初に流水で軽くすすぎ、食べかすなどの目に見える汚れを洗い流します。この段階ではゴシゴシこする必要はありません。
手順3 入れ歯専用ブラシでやさしく磨く
次に、入れ歯専用ブラシを使って清掃します。人工歯の表側だけでなく、歯ぐきに触れる内側や、部分入れ歯の場合は金属のバネ周辺も忘れずに磨きましょう。
力を入れすぎると表面に細かな傷がつき、そこに汚れが入り込みやすくなります。ブラシは軽く当てる程度で、なでるように動かすのがポイントです。歯みがき粉は使わず、水だけで磨くほうが安心です。
手順4 必要に応じて義歯洗浄剤を使う
ブラシ清掃のあと、義歯洗浄剤を使ってつけ置き洗いを行います。毎日短時間使うタイプもあれば、週に数回しっかり除菌するタイプもありますので、製品の説明に従って使用してください。つけ置きだけで終わらせず、ブラシでの清掃と組み合わせて使うようにしましょう。
手順5 口の中も一緒にケアする
入れ歯を外している間に、歯ぐきや舌、残っている歯も軽くケアしておきます。歯ブラシやスポンジブラシを使い、歯ぐきをやさしくなでるように清掃すると、汚れがたまりにくくなります。
入れ歯だけをきれいにしても、口の中が不清潔なままだと、ニオイや炎症につながることがあります。
手順6 保管ケースで管理する
夜間など入れ歯を外して過ごす場合は、乾燥を防ぐために水を入れた専用ケースで保管します。ティッシュに包んだまま置くと誤って捨ててしまったり、変形したりすることがあります。
入れ歯を装着する前は、洗浄剤の成分が残らないよう、水でよくすすいでから口に戻します。
入れ歯の掃除は、「外す前の準備」「ブラシでの清掃」「必要に応じた洗浄剤」「口の中のケア」「保管」が欠かせません。文字にすると面倒に見えますが、慣れてしまえば数分で終わる作業です。毎回完璧にしなくても良いので、無理のない範囲で続けていきましょう。
第3章 ついやってしまいがちなNGケア
入れ歯は毎日使うものだからこそ、自己流のお手入れが定着してしまいがちです。間違ったケアを続けていると、入れ歯の劣化が早まったり、口の中のトラブルにつながったりすることがあります。ここでは、比較的よく見られるNG例を確認しておきましょう。
歯みがき粉を使って磨く
天然歯と同じ感覚で、歯みがき粉をつけて入れ歯を磨いている方も少なくありません。しかし多くの歯みがき粉には研磨剤が含まれており、入れ歯の表面に細かな傷が入りやすくなります。
一見きれいになったように見えても、その傷に汚れや細菌が入り込み、着色やニオイの原因になることがあります。入れ歯は水だけ、もしくは専用ブラシでやさしく洗いましょう。
熱湯につける・煮沸消毒をする
「しっかり消毒したい」と思って熱湯につけたり煮沸したりするケースも見られますが、これは避けたい方法です。入れ歯は熱に弱く、高温にさらされると変形することがあります。
少しのゆがみでも装着感が悪くなったり、歯ぐきに当たって痛みが出る原因になります。入れ歯の除菌は義歯洗浄剤を使いましょう。
乾燥したまま放置する
外した入れ歯を洗面台やティッシュの上に置いたままにしていると、乾燥によって材質が変化し、ひび割れのリスクが高まります。また、うっかり捨ててしまうことも多く見られます。
使っていない間は、水を入れた専用ケースで保管するのが無難です。外出時も、携帯用ケースで保管しましょう。
市販の漂白剤や強い洗剤を使う
着色が気になっても、キッチン用の漂白剤や強い洗剤を使うと入れ歯を痛めてしまいます。素材が傷んだり、成分が残って口の中に刺激が残ることがあります。
入れ歯の洗浄には、必ず義歯専用の洗浄剤を使うようにしましょう。それでも汚れが落ちないときは、歯科医院にご相談ください。
ガタつきや違和感を自分で調整する
入れ歯がゆるく感じたり、当たって痛かったりすると、自分で曲げたり削ったりしたくなることがあります。しかし自力で調整すると入れ歯を痛め、ますます悪化させます。入れ歯の修復が難しくなる場合もあります。
違和感が出てきたときは、早めに歯科で調整してもらいましょう。歯科医師が適切に調整した入れ歯のほうが、より快適に使用できます。
入れ歯だけ掃除して歯磨き、舌磨きをしない
入れ歯をきれいにしても、歯ぐきや舌の汚れを放置していると、細菌は口の中に残ったままになります。細菌が繁殖するとニオイが出やすくなり、粘膜が荒れることもあります。
入れ歯を外している時間に、口の中も軽く清掃する習慣をつけると、より快適に入れ歯を使用できます。
こうしたNGケアは、知らず知らずのうちにやってしまっていることが多いものです。思い当たる点があれば、今日から少しずつ見直してみましょう。
第4章 こんなときは歯科に相談を
入れ歯は毎日使うものなので、多少の違和感があっても「そのうち慣れるかな」と様子を見てしまいがちです。ただ、合わない状態のまま使い続けると、歯ぐきの炎症や痛み、かみ合わせのズレなどにつながることがあります。ここでは、早めに歯科に相談したほうがよいケースを紹介します。
入れ歯のトラブルと受診の目安
| 気になる症状・変化 | 考えられる原因 | 受診の目安 |
|---|---|---|
| 入れ歯がガタつく・外れやすい | 歯ぐきの形の変化、金属部分のゆがみ | そのまま使い続けず、早めに歯科で調整を |
| 歯ぐきが痛い・こすれる | 当たりが強い、かみ合わせのズレ | 我慢せず、早めの受診を |
| ニオイが取れない | 汚れの蓄積、細菌増殖 | 掃除方法を見直し、改善しなければ受診 |
| ひび割れ・欠けがある | 落下や経年劣化 | 使用を控え、できるだけ早く歯科に持参しましょう |
| 食べにくくなった | かみ合わせ変化、適合低下 | 早めに受診し、入れ歯の調整を |
これらの症状を放置すると口腔内が悪化しやすくなります。
たとえば、入れ歯が少しゆるく感じる程度でも、そのまま使い続けると動きが大きくなり、歯ぐきが擦れて炎症を起こすことがあります。痛みが出てから受診すると調整に時間がかかることもあるため、違和感の段階で早めに相談したほうが早く快適に使い続けられるケースが多いです。
ニオイが気になる場合も、洗い方の問題だけではないかもしれません。入れ歯の表面に細菌が定着している、口の中の粘膜環境が乱れていることがあります。ブラシや洗浄剤を見直しても改善しないときは、一度歯科医院でクリーニングや入れ歯の確認をしてもらうと安心です。
また、ひび割れや欠けが見つかった場合は、そのまま使わずに早めに歯科医院に持参してください。小さな破損でも噛む力が集中して割れてしまうことがあります。自己判断で接着剤などを使うと修復が難しくなり、作り直しになることもあります。
参照:日本歯科医師会 入れ歯の修理
https://www.jda.or.jp/park/lose/index17_04.html
食べにくさも見逃しやすいポイントです。「最近やわらかい物ばかり選んでいる」「以前より噛むのに時間がかかる」と感じたら、かみ合わせが少しずつズレてきているかもしれません。こうした変化は本人が慣れてしまうことも多いので、歯科の定期検診でズレを確認しましょう。
入れ歯は作って終わりではなく、使いながら調整していくものです。歯ぐきの形は年齢や体調によって少しずつ変わるため、問題がなくても定期的に診てもらうことで、合わなくなる前に微調整できます。微調整を適時行うことで、入れ歯の痛みや口腔トラブル、作り直しのリスクを減らしやすくなります。
「この程度で相談していいのかな」と迷うような小さな違和感でも遠慮はいりません。少しでも気になることがあれば、早めに歯科医院にご相談ください。
入れ歯の使用で気になることがなくても、最低でも1年に一度は歯科医院で定期点検を行いましょう。
参照:日本訪問歯科協会 入れ歯の管理方法
https://www.houmonshika.org/oralcaremanual/m33/
まとめ
入れ歯は、毎日の掃除とちょっとした管理の積み重ねで、使い心地が大きく変わってきます。専用ブラシや洗浄剤などのグッズを上手に取り入れながら、やさしく洗う、乾燥させない、口の中も一緒にケアするといった基本を押さえておくと、ニオイやトラブルを防ぎやすくなります。
一方で、歯みがき粉で磨く、熱湯につける、違和感を我慢するなどの自己流ケアは、入れ歯の劣化や歯ぐきの不調につながることがあります。ガタつきや痛み、食べにくさなどの変化に気づいたら、無理に使い続けず、歯科で状態を確認してもらいましょう。
入れ歯は作って終わりではなく、使いながら調整していくものです。気になる点は我慢せず、歯科医院で調整しつつ、自分の口に合った状態を保っていきましょう。
作成日 2026年2月20日
参考文献
日本訪問歯科協会 入れ歯の管理方法
https://www.houmonshika.org/oralcaremanual/m33/
日本義歯ケア学会 ガイドライン
https://www.jdenturecare.com/_userdata/guideline/professional.pdf
日本歯科医師会 入れ歯の修理
https://www.jda.or.jp/park/lose/index17_04.html
担当した診療所
ファミリー歯科
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